黒部源流釣行  02.09.03〜04

黒部の岩魚に会いたくて(黒部源流釣行)
念願の黒部源流の釣行、期待を裏切らない良い釣ができました。目を瞑ればまだあの清流と岩魚たちの顔が蘇ってきます。下山の辛さを忘れてロッドの感覚だけが残っているのも不思議な感じがします。(02.09.05)

今回は下見ということで、ネットの源流釣行の記録を念入りにチェック、自分なりの黒部の源流釣を想い描き出発。学生時代、雲ノ平へ入るルートとして通ったことはあるが全然記憶に残っていない。入るのに時間がかかるようだったら2泊することに決めていた。ただ天気が下り気味なのが心配。白馬を5時に出発、登山口である折立に着いたのが7時30分、準備を整えて8時出発となった。
コースガイドでは太郎小屋まで5時間、そこから薬師沢小屋まで2時間15分となっている。所要時間は7時間15分(12km)。
昨日、一日十分休養を取っているので今日は調子が良い。コースも整備されて登り易い。それに今日はガイドではなくマイペースで行ける。条件が良ければペースも次第に上がっていくもの。自転車乗りでもある自分は水分とエネルギー補給ができれば休憩時間はそう必要としない。今日はMTBに乗っているつもりで行こう!回転数は50〜60をキープ。ということで、太郎小屋までは2時間25分、半分のタイムで到着。ここで昼食を取り11時に出発。目の前にある薬師岳にも登りたい気持ちはあるが早く黒部の岩魚に会いたい気持ちの方が勝っている。はやる気持ちを抑えながら下っていくと30分ほどで薬師沢の出合へ出る。小さな沢で水量も少ない。様子を見ていると流れ込み下部に岩魚の姿が・・・。もうこうなると我慢ができません。早速、ロッドとリール、フライを取り出して登山スタイルのまま入渓。フライを落とすと直ぐに食いついてくる。が、なかなかタイミングが合わない。ちょっとすれているのかな?フッキングしたが切れてしまい最初のポイントは諦め次に移動。そして、ついに待望の黒部岩魚にご対面!20センチほどの岩魚であったが元気が良い、頭と尾びれが大きい、そして色も黒っぽい。これが「黒部岩魚かぁ〜!」感激ひとしお。1時間くらい遊んでしまったが10尾の釣果、型は小さかったが満足、これから行く本流の期待が高鳴る。


             薬師沢小屋

薬師沢と黒部川本流の分岐点にある小屋でこじんまりとした山小屋。沢のせせらぎの音が気持ち良い。部屋の窓から沢をのぞくと岩魚が泳いでいるのが見える。今日は空いているので、私が釣り人ということで食事時間もあわせてくれた。小屋のスタッフもフライフィッシングをやっているので、いろいろな情報を入手、釣り人にとっては最高の宿といえる。夕食もスタッフの方達と一緒させてもらい楽しい夕げとなった。やさしい心遣いに感謝、感謝!

初日は午後2時、小屋の前から入渓、本流を釣り上がる。小屋の前は渋いと聞いていたが、吊橋の下でいきなり2尾ゲット。22センチ位のまあまあの型、相変わらず元気がよい。活性もよくどんどん出てくる。どのポイントにも必ず出てくる。こんな釣は今まで経験したことはない。休む暇もない。実に楽しい。中型が多いが元気が良いので十分楽しめる。そして、十分手ごたえのある引きが・・・・ 尺岩魚の期待! 上手く取り込んでメジャーを当ててみたが29.5センチ、またもや泣き尺である。いつになったら尺物が釣れるのであろう・・・・・・? 気を取り直して再開するとまたもや手ごたえが、今度こそと思ったのもつかの間、一段下の岩陰に潜り込まれてフライを切られてしまった。「う〜ん、今のはさっき以上?」悔しがってもしょうがない。これだけ釣れればその内出てくれるだろう。その後もどんどん釣れるが27、8センチ止まり。イブニングライズが始まったが、フライが合わない。小屋の兄さんが言っていたミッジサイズじゃないと駄目か? たまに、スレ掛して釣れるが、完全に合っていない。今日は最小でも#16しか持ってきていない。イブニングは諦めることにしよう!これだけ釣れれば大満足である。20尾までは数えていたのだがその後はめんどくさくて数えていない。多分40尾以上は釣ったと思う。途中の出合いで釣った分と合わせれば50尾以上と言う事になる。今日は本当に楽しい釣りができた、大満足!
夕食の時、小屋の兄さんに黒部源流の状況を聞くことができた。人もたくさん入り必要以上に釣り、持ち帰ってしまう人が多いとか、指定区域外にテントを張り乱獲する人たちがいること、尺を超す岩魚も少なくなったとか。せっかく、黒部源流を昔の状態に戻そうと努力している、「黒部の岩魚を愛する会」の方達に申し訳ないと言っていました。でも、魚影は濃いので、皆さんの努力も少しは報われているのではないかと感じました。必要以上に持ち帰らないこと、みんなでこの良い環境を守ってあげようではないでしょうか。こんな環境(放流ではなく天然だけ)は他にはないのだから。黒部は昔は良かったではなく、いつまでも「黒部は良いよ!」と言い続けたいですね。
それから、今日はフライフィッシングをやりに来たという金沢の女の子がいたので石川県の情報や釣り談義も弾み、楽しい夕げになりました。今日は登山者ではなく、すっかりフライフィッシャーになっていた自分がいました。こんな山小屋の過ごし方も初めての経験でした。

           黒部本流の渓相

少し渇水気味でしたが、本当に透き通ったきれいな水です。眺めているだけでも気持ちが良いのですが、やっぱりこれだけ魚影が濃いと休みなしで釣ってしまいます。



       待望の尺岩魚(30.5センチ)

泣き尺ばかりだったのでメジャーで計って30センチオーバーを確認、一安心、念願が叶いました。それにしてもこのクラスになるとあごがしゃくれて、シャケの顔みたい、黒くて貫禄があります。小屋の人が言っていましたが、夏に30センチオーバーをだいぶ抜かれてしまったので、尺岩魚がいなくなったと嘆いていました。


              黒部の岩魚

頭が大きい、尾びれも大きい、胸びれも横にピーンと突き出せるのでこれで歩けてしまうのでは?黒っぽいやつもいて、これがなかなか元気もの。体幅はなくスマートにシェイプアップされていて、身体が左右にピンピン動く、かなり強力、これだったらかなりの急流も大丈夫であろう、源流向きに進化したのだろうか?
とにかく、ここの岩魚は元気だ。バーブレスのフックは簡単に外されるので、使い切れなかった。


               岩魚の口

頭も大きめ、ということは口も大きい。そして歯も強力。これだったら何でも大丈夫だろう。深く飲み込んだフライを取り出すときはちょっと噛まれないか恐怖心も。でもこの状態のときはあごに力が入らないことがわかり安心。
               当りフライ

今回の当りフライはブラック系、アントやテレストリアル。
特にこの#12のプードルアントとピーコックの出は良かった。白馬スペシャルは今一つ反応が鈍かった。

二日目は8時に入渓、黒部本流をB沢に向かって釣り下がることに。小屋の兄さんが水温が低いので10時位にならないと活性が悪いとか。でも、入るや否や直ぐに飛びついてくる。十分食い気はある。9時位になるとどんどん釣れ始める。1ヶ所のプールで5、6尾釣れる。ここも昨日同様どのポイントでも出てくる。実に快調、気分が良い。そして、ついに尺岩魚とのご対面。ずっしりとした感触の後に顔を出したのは見るからに今までと違う顔構え。メジャーを当てると30センチオーバー、30、5センチある。「ヤッター!」と思わずガッツポーズがでる。待ちに待った念願の尺岩魚である。苦節3年(皆さんに言わせると倍の6年分はやっていると申しますが)とうとうめぐり合えました。良かった!良かった!黒部に来た甲斐がありました。
それからは尺を釣った余裕からか落ち着いた釣りができ、時計を見ると12時。もうそろそろいいかな?
それにしても、黒部源流は本当に良い!今までで一番の釣りになりました。自然と川に向かって「楽しませてくれてありがとう!」と頭を下げてしまったのもこの川の持つ魅力なんでしょう。いつまでも大切にしたい所ですね。この感動はたくさんの人たちに伝えたいと思います。そして、一緒に釣りのできる仲間と訪れたいと考えています。
小屋のスタッフの方も本当にありがとうございました! また仲間を連れて行きます!
登山の出来るフライフィッシャーマンを育てねば・・・・・・・? それともこの魅力を伝えれば釣られてくるかな?

帰りは余韻を楽しみながらの下山となりましたが、いつしか体力的に余裕がなくなりしんどさが思考回路を占領し始める。小屋を1時30分に出発、折立には4時50分到着。やっぱり、一泊二日では帰りがしんどくなるけど、それでもまた直ぐに行きたくなるのだから黒部の魅力はたいしたものだ。次はいつにしようか? 「9月は大物が釣れる」と小屋の兄さんが言っていたなぁ〜! それに今回はほんの一部分しか行っていなし・・・・・・。


ペンション かむるーぷす  TOPへ